「正看護師を目指したい。でも学費が……」
准看護師から正看護師への進学を考えたとき、多くの人が最初に気になるのはお金のことだと思います。通信制でも学費は100万円前後。
私はというと、「学費はなんとしてでも工面して行く」と決めていました。それより不安だったのは、勉強が始まったら家のこと(家事や毎日のごはん)が、いままで通りにできなくなるんじゃないか、ということのほう。
とはいえ、100万円は大きな金額です。戻ってくる制度があるなら、使わない手はありません。
そこで頼りになるのが、国のサポート制度「専門実践教育訓練給付金」です。この記事では、「制度があるのは知ってるけど、結局自分はもらえるの?」というモヤモヤを解消するために、重い腰を上げてハローワークへ確認しに行ってきたリアルな体験をお届けします。
※この記事の制度・金額の情報は2026年8月時点のものです。最新の内容は必ずハローワークや公式サイトでご確認ください。
専門実践教育訓練給付金って?(ざっくりおさらい)
雇用保険に一定期間入って働いてきた人が、国の指定を受けた講座(通信制看護学科の多くが対象)で学ぶと、学費の一部が戻ってくる制度です。段階式で最大80%。詳しい仕組みやルート・費用の全体像は、こちらの記事にまとめています。
→准看護師から正看護師になるには?ルート・費用・給付金を現役准看護師がまとめて解説
この記事では「で、私はもらえるの?」を確かめる部分を深掘りします。
ハローワークで確認した3つのポイント
ネットで調べても「結局自分の場合はどうなの?」が分からずモヤモヤしていたので、直接窓口で聞いてきました。
① 雇用保険の加入期間は足りているか
この制度の鍵は「雇用保険」です。初めて使う場合と、過去に使ったことがある場合とで条件が細かく変わります。私の職歴を窓口で照らし合わせてもらったところ、無事にクリアしていました。これは自分一人で計算するより、窓口で調べてもらうのが一番確実で早いです。「教育訓練給付金の支給要件照会をしたい」と伝えれば、照会票を書くだけで調べてもらえます。
② 受けたい講座は給付金の対象か
どれだけ良い学校でも、厚生労働大臣の指定を受けていなければ給付金は出ません。通信制看護学科は対象になっている学校が多いですが、必ず個別に確認が必要です。学校の募集要項か、厚生労働省の検索システム、そしてハローワークの窓口でも照合してもらえます。
③ 書類の提出期限はいつか
ここがこの制度で一番シビアなポイントです。私の場合、ハローワークで「受講開始の2週間前(14日前)までに、すべての手続きを完了させてください」と念押しされました。「すべての手続き」には、次に説明するキャリアコンサルティングも含まれます。
【要注意】「訓練前キャリアコンサルティング」が必須
専門実践教育訓練を受けるには、受講前にハローワークで「キャリアコンサルティング」を受ける必要があります。ここで「ジョブ・カード」という書類を作って、今後のキャリアプランを相談します。
注意したいのは、予約が必要な場合がほとんどだということ。「書類を出すだけでしょ」と思って直前に動くと、コンサルの予約が取れずに期限に間に合わない……ということが起こり得ます。
つまり逆算するとこうなります。
- 学校を調べ始めた段階で、ハローワークに受給資格を照会
- キャリアコンサルティングを予約して、ジョブ・カードを作成
- 受給資格確認票などの書類一式を提出
- ここまでを受講開始の14日前までに完了
検討中の方は、まずハローワークで「いつまでにキャリアコンサルを受ければいいですか?」と聞くのが一番の近道です。
最大80%もらうための「2つのハードル」
「学費の80%が戻ってくる」というのは、2024年10月から拡充された比較的新しいルールです。ただし、誰でも無条件に80%ではなく、段階式になっています。
まず基本:受講中50%+修了後20%=70%
受講中に50%(年間の上限額あり)、そして講座をしっかり修了して、1年以内に資格を活かして就職(今の職場での雇用継続もOK)すると、合計70%になります。
残り10%の条件:賃金が5%以上アップ
最後の10%(合計80%)をもらうには、「受講前と比べてお給料が5%以上アップした」という実績が必要です。
准看護師から正看護師になると、資格手当がついたり、基本給の基準そのものが変わったりする職場は多いです。そういう意味では、届く可能性のある条件だと思います。
ただ、ここに落とし穴があります。
正看護師になったときに、経験年数が「1年目」からのカウントに戻る職場があるということです。
准看護師として長く働いてきた人ほど、ここは影響が大きくなります。資格は上がったのに経験年数がリセットされて、基本給がむしろ下がってしまうケースもあると聞きます。
給与の決まり方は職場ごとに本当にバラバラなので、「正看になれば上がるはず」と思い込まずに、自分の職場の給与規定を先に確認しておくことをおすすめします。
聞いておきたいのは、この3つです。
・正看護師の資格を取ったら、給与はどう変わるか
・准看護師として働いた期間は、経験年数に通算されるか
・資格手当はいくらつくか
そして、もし「経験年数は1年目からです」と言われたとしても、そこで終わりとは限りません。准看時代の経験を通算できないか、相談の余地がある職場もあるかもしれません。聞いてみないと分からない部分です。
少し聞きにくいことかもしれませんが、給付金の10%分に関わる話です。学校を決める前の段階で確認しておくと、あとの計画が立てやすくなると思います。
「受給可能です」の一言に、ほっとした
今回いちばんお伝えしたいのは、ハローワークで「受給可能です」と確認できたときの安心感です。
「対象でよかった」と、ほっとしたのが正直なところです。
でも、この「確認できた」は大きいと思っています。ネットで調べて「たぶん大丈夫」のままだと、学費の計画はずっと仮のまま。窓口で確定してもらえたことで、安心して次の準備に進めるようになりました。
知っているか知らないか、確認するかしないか。それだけで数十万円の差が出る制度です。
給付金のほかにも、学費の工面先はあります
この記事では給付金を紹介しましたが、学費を支える制度はほかにもいくつかあります。
・学校独自の奨学金や、学費の分納制度
・都道府県の「看護師等修学資金」(地域で一定期間働くと返済が免除される場合あり)
・病院・施設の奨学金(卒業後にその職場で働くことで返済免除になるタイプ)
・日本看護協会の奨学金(通信制の2年課程に進学する会員向けの無利子貸与)
・国の教育ローン(日本政策金融公庫)
給付金と組み合わせられるものもあります。もし「給付金の対象外だった」という結果になっても、進学をあきらめる前に、こうした選択肢を並べてみてください。このあたりは、また別の記事で詳しくまとめたいと思っています。
まとめ:照会票を一枚書くだけで、未来が変わるかも
・自分がもらえるかは、ハローワークの窓口で照会してもらうのが確実で早い
・講座が給付金の対象かも、あわせて確認できる
・手続き(キャリアコンサル含む)は受講開始の14日前までに完了。予約は早めに
・給付は段階式:受講中50%→修了・就職で70%→賃金5%アップで最大80%
・賃金5%アップは自動ではない。正看になると経験年数が1年目に戻る職場もあるので、自分の職場の給与規定を先に確認しておく
もし「学費が高いから」と諦めかけているなら、一度お近くのハローワークへ行ってみてください。照会票を一枚書くだけで、あなたの進学を国が最大80%サポートしてくれるかもしれません。
私もこの制度を味方につけて、こつこつと進んでいきます。

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